にしの備忘録

21歳が綴る備忘録。

粕屋南部消防本部 救助工作車

粕屋南部消防本部 救助工作車

 

 今回紹介するのは粕屋南部消防本部 救助工作車(Ⅲ型)。

 

 先日、2018年緊援隊九州ブロック訓練の写真を見返していると、気になった車両が...

 

 

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 ベース車:日野 レンジャー

 艤装:帝国繊維

 種別:救助工作車Ⅲ型

 

 日野レンジャーをベースに帝国繊維が艤装。帝国繊維HX型を採用したバス型救助工作車。HX型はワイドシングルハイルーフキャブをベースにしており、後部座席は積載庫を延長した前端部分に設けられるため前部座席と後部座席は異なる区画に配置されていることになるが、キャブ後部分を切り抜くことで一つの居住区を構成している。

 

 

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 車両前部より。主赤色灯は埋込式でスピーカー類は真ん中に配置。サイドミラーはメッキ仕様。フロントウインチはロッツラー製。

 

 

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 車両左側面より。完全なバス型でキャブチルトができない構造。キャブハイルーフ部からなだらかに立ち上がったあおり部は後部まで起伏のない直線式でまとまった印象を受ける。後部座席の昇降用扉は折戸式で左側面にのみ設置。この車両最大の特徴である居住区延長により窓が一枚追加されており左右非対称なシャッター配置になっている。シャッター上部には照明が三灯設置されているがその上にさらに一灯「補助照明装置」として大型の照明が設置されている。

 

 

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 車両左側面より。左側面にはルーカス製スプレッダーやカッター、削岩機、エアソーなどの大型資機材を収納。右端には組み立て式の荷車も収納。スカートボックス内には木片やゴムシート、排煙機を収納。また、ルーカス製スプレッダーとカッターは小型化、省スペース化、取り回しの良さを重点にバッテリー式のものを採用している。

 

 

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 車両右側面より。左側面とは異なり昇降用扉がないので大型窓が設置されている。屋根上へのアクセス用のはしごは使用に応じて手前に引き出すタイプで、ボディラインを損なわないように工夫されている。キャビン部には小さな扉がいくつもあるが、これはキャブチルトができないために各点検に使用するハッチだ。

 

 

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 点検用ハッチの具体例としてエアクリーナー部を。隊員からは「エンジンオイルを替えるだけでも居住区に上がって、床のパネルをはいでそこからさらに腕を伸ばさなければならないから整備性は悪い」との話を聞くことができた。

 何かをよくすれば悪くなる部分もある。床下エンジンのトラックをベースにしているのでキャブチルトができないは痛手かもしれない。

 

 

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 車両右側面より。右側面には耐電衣や潜水資機材、発電機、予備ボンベ、エンジンカッター、チェーンソー、ロープ・カラビナ類が収納されている。スカートボックス内には、チルホールとケーブルドラム、携行缶を収納。

 

 

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 シャッター上部の作業灯と補助照明装置。小さめのシャックル。

 

 

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 後部昇降用扉より室内を。居住区延長により座席を三席横並びに配置。真ん中席は補助席的な構造でライフジャケットと面体置き場に。また、床の高さを従来より極力低くしたという。身長約185㎝の人が余裕で立つことのできる広い空間を確保した。階段を上りすぐ右側にさらに一席設置されている。

 

 

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 後部居住区より前部を。比較対象がないため特に説明はなく。

 

 

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 上部収納。夜間暗視装置と線量計を収納。

 

 

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 運転席より後部居住区を。後部居住区の一部は積載庫と接続されており、潜水具を収納。完全なウォークスルーではない。

 

 

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 隊員から「居住区が広い分、荷物が積めない」との話もあった。通常任務での防火衣や潜水具着装などはもちろん、緊援隊に登録されており、派遣先での隊員へのストレスを少しでも軽減できるようにとの意図もあり居住区の延長が行われている。救助工作車Ⅲ型相当の資機材を積むためにも工夫が施され、隊員への配慮もある。まさに「第三のバス型」にふさわしい車両だ。

 

 対応していただいた隊員様、ありがとうございました。