大府市消防本部 化学車
大府市消防本部 化学車
今回紹介するのは大府市消防本部 化学車。
ベース車:日野 レンジャー
艤装:小川ポンプ工業
種別:化学消防自動車 化−I型
日野レンジャーをベースに小川ポンプ工業が艤装を施した。装備は標準的な化学車と大差はない。しかし、この洗練されたボディシルエットには惹かれるものがある。
レンジャー特有の大きなウインカーレンズはクリアのものに換装され、補助警光灯や作業灯も同様にクリアのものになっている。
ハイルーフ部を手がけるのはベルリング。株式会社バリスとベルリングが共同開発したファイヤージャケットハイルーフRFJ2を採用。通常では標識灯が組み込まれる部分を切り抜き、小窓を増設。素材はFRPを使用し、世界最軽量のハイルーフとして売り出されている。
右側面より。激推しポイントである後部アオリと露出タイプの操作盤。キャビンハイルーフ部から続く後部アオリはキャビン側から一気に下降し、資器材庫後部へと続いている。また、キャビンと資器材庫の空間はほぼ埋まっており、小柄ながらもギュッと詰まったシルエットがたまらない。ホイールベースを詰めたショートシャシなので、ポンプ操作部のシャッター化が困難となり露出タイプになっている。タイヤハウスに沿ったステップ形状に縞鋼板の加工。全てにおいて完璧とも言える。
シャッターデザインもイカしており非常に良い。放水を行う消防隊員とOBU、CHEMICAL FIRE ENNGINEの文字。
車両後部。三連ハシゴは左側に積載。ほぼ中央部には照明装置を設置している。照明装置は佐藤工業所ナイトスキャンチーフ(?)を採用。
水槽容量は1300㍑、薬液槽容量は300㍑となっている。
対応していただいた隊員様、ありがとうございました。
伊予消防等事務組合 ポンプ車
伊予消防等事務組合 ポンプ車
今回紹介するのは伊予消防等事務組合 ポンプ車。
前回の車両系ブログ更新から約5か月が経ってしまいました^^;
ベース車:いすゞ エルフ
艤装:モリタ
種別:消防ポンプ自動車 CD-Ⅰ型
いすゞエルフをベースにモリタが艤装。装備自体は標準的なポンプ車と変わらないが、目を引くハイルーフ部は特異だ。
ハイルーフ部を手掛けるのはいすゞ車体株式会社。官公庁向け車両架装に「パトデフ&ハイルーフ」の名称で設定されている。設定は二分割構成で赤色灯部が「パトデフ」、キャビンハイルーフ部が「ハイルーフ」となっている。
形状自体はかつていすゞが制作していた救急車(スーパーメディック)の赤色灯部に酷似している。
赤色灯部にはスピーカー、モーターサイレンも組み込まれている。それによって運転席、助手席部の室内屋根高はほぼ標準高と変わらない。
バンパーにはいすゞ純正オプションのリップスポイラーが取り付けられている。
左側面。積載庫は直線的なエッジの効いたデザイン。シャッターは銀を基調に赤ラインを入れた二枚組。ドアバイザーはメッキ。
左側面にはポンプ操作部と吸管巻取り装置を装備。水槽を装備していないため、開口部の広い貫通タイプの資機材庫を設けている。
右側面。こちらも左側面同様にポンプ操作部を設置。吸管はなく、背負い式のホース搬送器を二つとホースブリッジを収納。
後部。ホースカーを積載している。屋根上には延長用の吸管を載せている。
全体的に簡素な構造になっている。
キャビン内部。見ての通り前部はほぼ標準高になっているが、後部は220mmの拡張がされている。署近くのショッピングモールで発生するPA連携に頻繁に出場するようだ。
今回はこの辺で。
担当してくださった隊員様、ありがとうございました。
土佐市消防本部 救助工作車
土佐市消防本部 救助工作車
今回紹介するのは土佐市消防本部 救助工作車。
ベース車:日野レンジャー
艤装:モリタ
種別:救助工作車Ⅱ型
日野レンジャーをベースにモリタが艤装。マイナーチェンジを行ったレンジャーだが、フロントマスクもだいぶ見慣れてきた。
高知県初のバス型救助工作車となった。今回、バス型が採用されたのには二つの大きな理由がある。一つ目は緊援隊関係だ。緊援隊に車両登録を行い、有事の際は全国へ展開をすることを想定し隊員へのストレスや負担を軽減する目的がある。二つ目は地理関係。管内には愛媛から高知へ流れる一級河川の仁淀川があり、仁淀川で発生する水難救助事案時に車内で各装備を着装することを想定している。
救助工作車のパイオニア、帝国繊維と比較すると大型のウインチ。個人的にはモリタ特有とも感じる。フロントウインチは大橋機産製を採用。
グリル、バンパー横には補助赤色灯を配置し視認性の向上を図っている。また、バンパー横補助赤色灯上の扉には輪留めが収納されている。
ボディラインに沿ったハイルーフにはクリアレンズの連発式赤色灯が取り付けられている。メッキグリルと樹脂製ミラーは相まって良いバランスになっている。
この車両は車内スペースを最大限確保するため、左にのみ昇降用折戸を設置している。資機材庫上部には作業灯と補助赤色灯が交互に配置されている。アオリは丸みを帯び、なめらかに下降している。
シャッターデザインは宇佐しおかぜ公園に設置されているクジラのモニュメントを模したものだという。土佐市では捕鯨文化が残っており、街の象徴にもなっているようだ。日本有数のクジラ生息地である土佐湾では、ホエールウォッチングも盛んにおこなわれている。
左側資機材庫。カッター、スプレッダー、チェーンソーやエアマット等の交通救助系資機材が収納。シャッター内とスカートボックスは繋がっており、可動式ラックには各救助器具が備えられている。スプレッダーとカッターは取り回し重視のバッテリー駆動型。メーカーはドイツに本社を置くウェーバー製。予備バッテリーは三個あり、有線での使用も可能。
右側資機材庫。こちらには山岳救助系資機材を収納。予備ボンベや排煙機、カラビナ、ロープなども収納。
水難救助系資機材は状況に応じ積載するとのことだった。
車両後部。小糸製オールLEDリアコンビネーションランプを採用。クリアレンズで目を引く。三連はしごは右側に設置し、左側にはボックスと照明装置を設置。また、後ろ引きウインチを装備せずにチルホールで対応する形をとっている。
キャビン内。昇降用扉は折戸式で、開閉に連動し下部からステップが自動的に展開する仕組みになっている。座席は足元スペースの確保のため横並び、跳ね上げ式を採用している。扉には注意喚起用に補助赤色灯が埋め込まれている。
キャビン内②。足元にも照明が設置されているのが見てとれる。小さなスペースも収納として活用しており、すっきりとした印象。奥、窓下のレールにはテーブルを取り付けることができ、作戦会議や供述調書の聞き取りも可能。そして一番手前のテーブル下のパネルは取り外すことができ、長距離移動時には隊員が脚をのばすこともできる。
今回はこの辺で。
車両の移動など対応してくださった隊員様、ありがとうございました。
また、「ええ記事書いてください」との事でしたのでしっかりと書かせて頂きました😭
四国車両紹介は当分続きます(笑)
直方鞍手消防本部 救助工作車
直方鞍手消防本部 救助工作車
今回紹介するのは直方鞍手消防本部 救助工作車。
ベース車:日野 レンジャー
艤装:帝国繊維
種別:救助工作車Ⅱ型
日野レンジャーをベースに帝国繊維が艤装。帝国繊維HX型キャビンを採用したバス型救助工作車。埋込型赤色灯で中央部にスピーカーを設けている。スピーカーカバーは黒色に塗装されており、カバー色一つで印象も変わる。赤色灯、作業灯はウイレン製を採用。
車体左側面。稲妻と直線を用いた「NK(Nogata Kurate)」の大きなデザインとエンブレム、管轄である3地域に合わせた3本のラインなど派手な塗装になっている。アオリはキャビン部から続き中央部から下っている。クレーン基台部にもアオリがあり、すっきりとしたシルエットになっている。
デザイン秘話があり、キャビン上部の破線(RESCUE表記部)は有名釣り具メーカー「ダ〇ワ」の社名デザインを意識したものだという。
車体右側面。標準ホイールではなくメッキホイールを採用したのは中隊長の意向だとか。中隊長殿、メッキホイールとても似合っております。
資機材庫上部に設置された照明装置。二枚目の画像を見ていただくとわかるが不思議な形状をしている。それに合わせ収納ボックスも特別な形状になっている。海外TEKLITE社の照明装置だ。
展開の様子。左右4個ずつ配置されたライト部がそれぞれ稼働するため、照射範囲を自在に変えることができる。現場では大変重宝されているとのこと。
ちなみに照明部後ろの金属板は収納時、資機材庫上部と一体化しフラットなスペースを確保するためのものだというが車両規模的にそうはならない。あくまでも海外製消防車両での使用を前提としているようだ。
車両右後部ドアより室内。ハイルーフキャビンなだけありとても広い。座席は跳ね上げ式を採用し足元スペースを最大限確保している。
スッテプだが最上部に微妙な段がつけられている。車両構造上仕方ないのかもしれないが隊員目線では大きな障害部になるそうだ。
後席右側に設置されたテーブル。災害現場では展開しエアコンの効いた室内で供述調書を書くことができ便利とのこと。
埋込型赤色灯。ウイレン製を採用してあり中央部にはLED回転灯を設置。カウルに沿ってLEDテープが取り付けられ視認性の向上に貢献している。
今回、資機材の紹介は割愛させていただきます。
前任車(日野レンジャー 標準ルーフ)と比較してお話を伺うことができたので紹介させていただきます
【利点】
・キャビン拡大による居住性向上
・後席エアコン装備により快適性向上
・資機材のアップデート
・デザインの向上
【欠点】
・速度が出ない
・故障多発(撮影翌日に工場へ)
・資機材庫の謎スペースが多い
・後方ウインチの巻取りが不便(30秒に一度巻取りを止めないとモーターが焼き付く)
など、一長一短のようだ。
当車が納車される予定は昨年12月末だったが予定から大きく遅れ、今年2~3月ごろに納車された。それにより前任車は車検を通し残りの余生を車庫裏で過ごしている。
今回はこの辺で。
対応してくださった隊員様、非常に濃い内容のお話をしてくださりありがとうございました。